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それは本当に綺麗な夕日だった。
太陽は真っ赤に燃えながら輝き、薄紫色の雲は橙色と水色のグラデーションをした空にたなびいていた。どうやら夕支度に賑わう街や、その先に広がる海が見渡せる高台にいるようで、決して届かないはずの夕日に、頑張れば手が届くような気がした。 隣に誰かいる。 楽しそうな笑い声が聞こえ、つられるようにして笑った。 『ずっとここにいたいな。』 声に出したはずが、喉から声は出なくて、代わりに楽しそうな笑い声が止んだ。 隣にいた誰かは確かに悲しそうな顔をしてゆっくり立ち上がる。何も言わないまま身体だけが小さな光の粒となって昇華されていく。 なぜ消えてしまうの? ずっとここにいたいと願ったから? 途端に胸が締め付けられるような息苦しさを感じる。息なんかしたくない。息ができなくてもいいから、返してほしいーー 『しあわせを』 「…ス、……ロクサス!」 「…っ…ソラ……?」 時計の針は夜の11時をまわったところだった。 いつもならとっくにベッドに入って眠りについている頃である。しかし今日はこころが浮き立ちだっていて、なかなか寝付けない。そこへガサガサと布団の擦れる音を立てながら、茶色の髪の毛が狭いベッドに侵入してきた。 「ロクサスも寝れないんだ」 「ソラよりは寝れそうだけど」 「えー」 だっていつもよりすっごいそわそわしてる!とソラは嬉しそうに言った。 「もう寝よう。明日寝坊したら、怒られる…」 「う、うん…じゃあさ、今日は同じ布団で寝ようよ」 「いいよ」 どちらからともなくおやすみ、と声を掛け合った後2段ベッドの上 時間を操る物質
重物質(バリオン) 約千年前に中国の離れ島「霧島」に落下した隕石。 それは地球上には存在しない鉱石で、時間を操る力がある。 厨師であり鍛冶師でもあるシュウリにより発見される。 ▼原理 重力が大きくなれば時間経過は遅くなり、逆に小さくなれば時間経過は速くなる。(ローレンツ変換より) バリオンにはブラックホールと類似した点があり、特異点も存在する(※特異点…重力場が無限大となる点。一般相対性理論より)。特異点に近づくほど時間の経過は遅くなる。いわゆるそういった作用により、食材に対して時間に影響を与えるものと思われる。 八厨具 シュウリが約千年前にバリオンから鍛え上げた厨具。 「若く有能な厨師が八厨具全てを使って料理を作った時それを食べた人間が『不老不死』になる」との言い伝えが残されているが、真相は謎である。これらの厨具を巡って大陸全土で国を挙げての大捜索がなされた。 現在は、裏料理界の首領であった入雲龍カイユの血によって石と化し、宮廷内にて厳重に封印されている。 キュービック・ノア トレジャーハンターとして名家の司馬家に代々受け継がれている正方形型をした漆黒の鉱石。その正体は約千年前にシュウリが発見したバリオンそのものである。 厨具の数十倍の大きさをしており、厨具と違って人の手を加えていないバリオン原石なので威力も凄まじく、周囲の時間を遅らせる力を持つ。司馬家の禁じられた沼底にはキュービック・ノアによって数十年もの間水中で生存している動物が多数いる。 木根室の核 中国上海の雷雷堂最上階に位置する木根室の核を成す鉱石。その正体は同じくバリオン原石。 これも時間を限りなく遅らせる効果を持ち、司馬雷鳳・響雷蔵の師匠にあたる久我晴明が瀕死状態で生存している。 永久食材(エターナルフード) 万年茸(霊芝)――一年生のキノコで、乾燥させて用いる。 神仙菜――ワカメ、あるいは海苔のような海藻類。 寒葵(霊草)――フロフキの事。小型の多年草。茎は短く、地面を匍匐する。花期は秋季。 石決明――アワビ等の貝殻を洗浄・乾燥させたもの。別名真珠母、千里光。 苔桃(仙菓)――富士山の五合目付近のごく一部で採れる高山植物の実。クランベリーに似ている。 冬虫夏草――菌類の一種で、蛾など昆虫の幼虫に寄生する。 長白山人参――高麗人参。野生の人参の方が効果が良いが採取は非常に困難。 (中国古典「抱朴子」 内篇 巻之十一『仙葯』より) (司馬遷の『史記』より‐徐福伝説) http://www.kanpo-kenko.co.jp/buwansou/ 1.溶けても消えない
それは魔法のようだと、小さなとき僕はしきりに思った。切ったり炒めたり、味をつけるタレなんかを使ったり、ただ食材に少し手を加えるだけなのに、人によってそれは何千と姿を変える。料理とはすなわち魔法だ。僕は母さんの作り出す魔法が好きだった。母さんの料理に対する情熱が好きだった。だから僕も、いつか母さんの様に立派に料理をつくれるようになりたいと、幼いなりにも目標をたてたのだった。
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